ジムの売店やドラッグストアで見かけるBCAAは、飲むと何が変わるのか。プロテインと何が違うのか。買う前に知りたいのはそこです。
BCAAとは、筋肉のエネルギー源になる3つの必須アミノ酸の総称で、運動中の筋肉の分解を抑え、運動後の筋肉の合成を助ける働きがあります。大塚製薬、森永製菓、サプリメント各社の解説をもとに、BCAAの正体、4つの効果、目的別と形状別の飲み方、量とタイミング、食品との関係、プロテインやEAAとの違い、注意点の順に書きます。
BCAAとは、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つの必須アミノ酸
BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンという3つのアミノ酸をまとめた呼び名です。分子の構造が枝分かれしているため「分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acids)」と呼ばれ、3つとも体内で作れない必須アミノ酸なので、食事かサプリメントで取るしかありません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品に含まれ、なかでもホエイたんぱく質に多く入っています。
ほかのアミノ酸は肝臓で処理されてから使われますが、BCAAは筋肉で直接使われます。運動中に筋肉のエネルギー源になるのはこの性質のためで、スポーツ用のサプリメントとして使われる理由でもあります。
BCAAの効果は4つ。筋肉の分解を抑え、合成を助ける
効果1 運動中の筋肉の分解を抑える
長い運動で体内のエネルギーが足りなくなると、体は筋肉のたんぱく質を分解してBCAAを取り出し、燃料にします。運動前にBCAAを飲んで血液中の量を増やしておくと、筋肉を壊してBCAAを作る必要が減り、長時間の運動でも筋肉の分解が進みにくくなります。減量中で食事の量を減らしている人ほど、この働きが要ります。
効果2 運動後の筋肉の合成を促す
3つのうちロイシンは、筋肉のたんぱく質を作る合図を出す働きが強く、森永製菓の解説では生理活性の強さはロイシン、イソロイシン、バリンの順とされています。トレーニングの直後にBCAAを取ると、筋たんぱく質の合成率が上がると考えられています。
効果3 運動中のエネルギー源になる
BCAAは筋肉で直接燃やせるので、糖質が減ってきた運動の後半に燃料として使われます。マラソンやサッカーの後半、筋トレの終盤で力が抜けてくる場面で、飲んでいる人と飲んでいない人の差が出やすい効果です。
効果4 血中濃度は30分でピークになり、2時間続く
大塚製薬が紹介する試験では、BCAAを飲んだ後の血中濃度は30分後にピークを示し、2,000mg以上を飲むと2時間後でも飲む前より高い値を保ち、1,000mg以下では1時間後に元の値に戻っています。効果の持続には、1回2g以上が必要です。
【目的別】BCAAの飲み方
筋トレをする人は、開始30分前と終了30分以内に5gずつ
血中濃度が30分でピークになるので、トレーニング開始の30分前に5g前後を飲むと、始めたときに筋肉へ届いています。終わった後は30分以内にもう5gを取ると、壊れた筋肉の修復と合成に使われます。1時間を超えるトレーニングなら、途中で水に溶かしたBCAAを少しずつ飲みます。
ランニングや自転車など持久系は、運動中にこまめに飲む
1時間以上走る持久系の運動は、後半にエネルギーが切れて筋肉の分解が始まります。スタート前に5g、走っている間はボトルにBCAAを溶かして、15〜20分おきに一口ずつ飲むと、血中濃度を保てます。フルマラソンや長距離のライドでは、補給食と一緒に持っておく定番の道具です。
ダイエット中は、運動前と起床時に
食事を減らすと体はエネルギー不足になり、筋肉を分解して燃料にします。筋肉が減ると基礎代謝が落ちてやせにくくなるので、運動前の5gで分解を抑えます。寝ている間も筋肉の分解が進むので、起床時に5gを取る飲み方もあります。BCAAそのものは1回で10〜20kcalほどで、カロリーの心配は要りません。
運動しない日は、食事のたんぱく質で足りる
運動しない日は筋肉の分解が少なく、肉、魚、卵、大豆製品から取るBCAAで足ります。サプリメントは運動する日だけで構いません。毎日飲むと費用がかさむだけで、効果は増えません。
【形状別】粉末・錠剤・ドリンクの違い
| 形状 | 向く場面 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 粉末 | ジムで運動中に飲む | 1回あたりが安い。量を調節できる | 水に溶かす手間。持ち歩きにくい |
| 錠剤・カプセル | 外出先や試合前 | 水だけで飲める。味が無い | 5g取るのに数粒〜10粒要る |
| 顆粒スティック | 練習や大会に持っていく | 1本ずつ個包装。水無しで飲める物も | 粉末より1回あたりが高い |
| ドリンク・ゼリー | 運動中の水分補給と一緒に | そのまま飲める。糖質も取れる | BCAAの量が少ない物が多い |
ジムで週に2〜3回飲むなら粉末が一番安く、250gの袋で約50回分です。試合や外出先で使うなら個包装の顆粒か錠剤、ドリンクは1本に入っているBCAAの量が2g以上あるかを表示で確かめてから選びます。
BCAAの摂取量とタイミングの目安
| タイミング | 量の目安 | ねらい |
|---|---|---|
| 運動の30分前 | 5g前後 | 開始時に血中濃度をピークにする |
| 運動中(1時間超) | 水に溶かして少しずつ | 後半の分解を抑え、エネルギーにする |
| 運動後30分以内 | 5g前後 | 筋肉の修復と合成 |
| 1日の合計 | 10〜15g | これ以上は効果が増えない |
最小の有効量は1回2gで、これ未満では血中濃度が1時間で元に戻ります。1回5〜10g、1日10〜15gが各社の目安で、それ以上飲んでも筋肉が増えるわけではありません。
BCAAを多く含む食品
BCAAは特別な食品にだけあるものではなく、たんぱく質を含む食品には入っています。牛乳から作るホエイたんぱく質が一番多く、BCAAのうち約半分がロイシンで、次いで牛肉、鶏むね肉、まぐろ、卵、大豆製品が続きます。1日3食でたんぱく質を体重1kgあたり1〜1.5g取っていれば、運動しない日のBCAAは足ります。
ホエイプロテインにもBCAAは含まれるので、プロテインを飲んでいる人が運動後にBCAAを重ねる必要はありません。BCAAのサプリメントが役立つのは、運動の前と最中という、固形物やプロテインを胃に入れたくない時間帯です。
BCAA・プロテイン・EAAの違い
| 種類 | 中身 | 吸収の速さ | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| BCAA | 必須アミノ酸3種 | 速い(30分でピーク) | 運動前・運動中の分解抑制 |
| EAA | 必須アミノ酸9種(BCAAを含む) | 速い | 運動前後の筋合成の材料 |
| プロテイン | たんぱく質(アミノ酸20種) | 1〜2時間 | 運動後と食事の補助 |
BCAAは筋肉を作る材料としては3種類しかなく、それだけで筋肉は作れません。筋肉を増やす材料はプロテインかEAAで取り、BCAAは運動中に筋肉を減らさないための守りのサプリメントと分けて考えると、買う物を間違えません。1つだけ選ぶなら、材料もそろうEAAかプロテインです。
BCAAを飲むときの注意点
- 1回10gを超えて飲むと、浸透圧でお腹がゆるくなったり腹痛が出たりすることがある
- 長期間の多量摂取は腎臓に負担をかける可能性がある。腎臓や肝臓に持病がある人は医師に相談する
- 妊娠中・授乳中、薬を飲んでいる人も医師か薬剤師に確かめる
- 食事のたんぱく質が足りていない状態でBCAAだけ飲んでも筋肉は増えない
- 粉末は水に溶かして飲み、運動中は水分も一緒に取る
BCAAは運動中に筋肉を守るアミノ酸。5gを30分前と直後に
BCAAとは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸の総称で、効果は運動中の筋肉の分解を抑え、運動後の合成を助け、後半のエネルギー源になることです。飲み方は運動の30分前と終了後30分以内に5gずつ、1時間を超える運動なら途中で少しずつ、1日10〜15gまでが目安で、運動しない日は食事で足ります。
筋肉を増やす材料はプロテインかEAA、運動中に減らさないのがBCAAと役割を分けて、自分の目的に合う方から始めてください。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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