筋トレを始めて数か月、プロテインの次にクレアチンを勧められたけれど、何が変わるのか分からない。そういう人に向けて、成分の正体から書きます。クレアチンとは、筋肉の中で短い時間に強い力を出すときのエネルギーの元になる成分で、1日3〜5gを毎日続けると、高い重量の回数が増えることが多くの研究で報告されています。効きにくい人の条件、飲み方、体重が増える理由、腎臓との関係まで、飲むかどうかを決める材料をそろえました。
クレアチンとは筋肉の中で力を出す元になる成分
クレアチンは、体の中で作られるアミノ酸の仲間です。約95%が筋肉にあり、筋肉が縮むときに使うATPというエネルギーを素早く作り直す役目を持っています。ベンチプレスの1回や短距離のダッシュのように、数秒から数十秒の強い運動で使われます。
体の中では、肝臓や腎臓で1日に約1g作られます。肉や魚からも1〜2g取れて、ステーキ1kgに約5gという量です。体重70kgの人なら体内に約120gあり、1日に約2gが使われて尿に出ていきます。
サプリメントで足すと、筋肉の中のクレアチンの量が2割ほど増えます。増えた分だけ、強い力を出せる時間が少し伸びます。これがクレアチンの働きで、飲むだけで筋肉が付く成分ではありません。トレーニングと組み合わせて初めて意味が出ます。
効果は筋力と回数、筋肉量、疲れの3つ
研究で確かめられている効果は、大きく3つです。高い重量を上げる力と反復回数が増えること、トレーニングと合わせると筋肉量が増えやすいこと、運動後の疲れや筋肉の損傷からの回復が早まることです。22件の研究をまとめた報告では、最大筋力が平均8%、反復回数が平均14%上がっています。
筋肉量については、クレアチンだけで増えるのではありません。高い強度のトレーニングを続けられるようになり、その結果として筋肉が増えやすくなります。65歳以上の男女28名が1日5gを14週間飲んだ試験では、脂肪を除いた体重が増えたと報告されています。
脳への働きも研究されています。1日5gを6週間飲んで知能テストの成績が上がった報告や、精神的な疲れが軽くなった報告があります。ただし、肉をよく食べる人では差が出なかった研究もあり、確かめられている段階です。
国際スポーツ栄養学会は2017年の声明で、クレアチンを「安全で効果があり、倫理的にも問題がない」と評価しています。プロテインとの違いは役目です。プロテインは筋肉の材料、クレアチンは力を出すためのエネルギーの元で、どちらかの代わりにはなりません。
効きにくいのは肉をよく食べる人
クレアチンには、飲んでも変化を感じにくい人がいます。もともと筋肉の中のクレアチンが多い人、つまり肉や魚を毎日しっかり食べている人は、増える幅が小さくなります。研究ではこうした人を「ノンレスポンダー」と呼びます。
逆に、変化が出やすいのは、肉や魚をあまり食べない人です。ベジタリアンの人では筋肉のクレアチンの増え方が大きかったという研究があり、脳の研究でも菜食の人だけに記憶の改善が出ています。高齢の人も、筋トレと合わせると効果が出やすい層です。
運動の種類でも変わります。効くのは3分以内の強い運動で、筋トレ、短距離走、球技のダッシュが当てはまります。マラソンや長い距離の自転車のような持久系の運動では、直接の効果はほとんど報告されていません。
自分がどちらか分からない人は、4週間飲んでみて決めてください。セットの後半の回数が増えたか、いつも止まる重量が1回でも増えたか、この2つで判断します。変化がなければ、無理に続ける必要はありません。
飲み方は1日3〜5gを毎日、糖質と一緒に
飲み方の基本はシンプルです。1日3〜5gを、運動する日もしない日も毎日飲む。これだけです。筋肉の中のクレアチンは毎日1〜2%ずつ尿に出ていくので、飲まない日が続くと減っていきます。
タイミングは、食後かトレーニングの後が向きます。糖質と一緒に取るとインスリンが出て、筋肉に取り込まれやすくなるからです。おにぎりやバナナ、糖質入りのドリンクと合わせるか、食事の直後に飲みます。研究では運動後がわずかに有利とされますが、差は小さく、毎日飲むことのほうが大事です。
種類は、モノハイドレートを選べば足ります。研究の大半がこの形で行われていて、価格も安いです。水に溶けにくいので、ぬるま湯かプロテインに混ぜると飲みやすくなります。
- 付属のスプーンで3〜5gを計ります。体重60kgなら3g、80kgなら4gが目安です。
- 水200mlかプロテイン、または果汁の飲み物に混ぜます。
- 食後かトレーニング後に飲みます。運動しない日も同じ時間に飲みます。
- 1日を通して水を2〜3L飲みます。筋肉に水分が入るので、いつもより多めにします。
ローディングは急ぐ人だけ、胃に重い
「最初の1週間は1日20g」と書かれた飲み方を見た人もいると思います。ローディングは筋肉を早く満たすための方法で、やらなくても3〜4週間で同じ量に届きます。試合が近い人以外は、最初から3〜5gで始めて構いません。
| 飲み方 | 量 | 満たされるまで | 向く人 |
|---|---|---|---|
| ローディングあり | 1日20gを4回に分けて5〜7日、その後3〜5g | 約1週間 | 2〜3週間後に試合がある人 |
| ローディングなし | 最初から1日3〜5g | 3〜4週間 | 初めての人、胃が弱い人 |
ローディングをすると、1日20gという量で胃がもたれたり、下痢をしたりする人がいます。体重も水分で1〜2kg急に増えます。減量中の人や、階級のある競技で体重を管理している人は、このやり方を避けてください。
飲み始めて変化が分かるのは、ローディングなしで2〜4週間後です。いちばん分かりやすいのは、セットの後半の回数です。いつも8回で止まっていたのが9〜10回できる、そういう形で出ます。体重計の数字より、トレーニングの記録で見てください。
副作用は体重増と胃の不調、腎臓は持病のある人が注意
副作用として一貫して報告されているのは、わずかな体重の増加だけです。増えるのは筋肉の中に入る水分で、脂肪ではありません。健康な人が目安の量を守る限り、腎臓に悪い影響が出たという証拠は報告されていません。抜け毛が増えるという説も、根拠はまだ確かめられていません。
ただし、注意がいる人はいます。腎臓の病気がある人や、健康診断で腎機能の数値を指摘された人は、飲む前に医師に相談してください。10代の人については、米国小児科学会などが運動能力を上げる目的での使用に注意を出しています。妊娠中や授乳中の人も、医師に確かめてから決めてください。
健康診断で気をつけたいのが、クレアチニンの数値です。クレアチニンは筋肉を動かした後の老廃物で、クレアチンを飲むと数値が上がることがあります。腎臓が悪くなったのではなく、飲んでいるせいで上がる場合があるので、検査の前に医師にクレアチンを飲んでいると伝えてください。
カフェインとの組み合わせについては、運動能力への働きを弱めたという報告があります。トレーニング前にコーヒーやエナジードリンクを飲む習慣がある人は、時間をずらすか、どちらかを減らして様子を見てください。
始めるなら3gを4週間、変化はセットの後半で見る
ここまで読んで、飲むかどうかを決める材料はそろいました。筋トレや短い時間の強い運動をしていて、肉や魚を毎日は食べていない人なら、1日3〜5gを4週間続けて変化を見る価値があります。持久系の運動が中心の人は、優先度は低いです。
始めるときは、モノハイドレートを1袋、3gから毎日、食後に糖質と一緒に飲みます。ローディングはしません。水は1日2〜3Lを目安に増やします。最初の2週間で体重が1〜2kg増えても、それは水分なので気にしないでください。
4週間たったら、トレーニングの記録を見返します。セットの後半の回数が増えたか、止まっていた重量が上がったか。この2つのどちらかに変化があれば、続ける意味があります。変化がなければ、肉や魚で足りている体質と考えて、やめても構いません。
腎臓の持病がある人、10代の人、妊娠中の人は、飲む前に医師に相談してください。健康診断の前には、クレアチンを飲んでいることを伝えます。この2つを守れば、クレアチンは筋トレを続ける人にとって、費用の割に変化が分かりやすい成分です。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
X(旧Twitter)




